イチロー選手の下積み時代 河村健一郎さん、新井宏昌さんとの共同作業 振り子打法の完成

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イチロー選手がブレイクするまで、下積み時代

イチロー選手は言わずと知れた日本の大スター選手です。メジャーでも華々しい実績を残し、日米通算4367安打は世界記録で、MLBでも通算3089本のヒットを放ちました。そんなイチロー選手にも苦労した下積み時代があり、洗礼されたバッティング技術の基礎を磨いた時期がありました。今回はイチロー選手の下積み時代についてと、バッティング技術についてと代名詞である振り子打法について解説をしたいと思います。

次回

イチロー選手を育てた河村健一郎コーチから聞いた指導者として大切な事 野球を教えるとは?
イチロー選手を育てた河村健一郎コーチから聞いた指導者として大切な事 野球とバッティングを教えるとは? 私は先日、河村健一郎コーチのバッティング指導を受けさせてもらい、お時間を頂いてバッティングへの取り組み方と指導する際に大切な事につい...

イチロー選手の歩んだ道

イチロー選手は愛知県豊山町出身で、高校は地元愛工大名電高校に進学され、エースピッチャーとして活躍、バッターとしても高校3年間の通算成績は536打数269安打、打率.501、本塁打19本、二塁打74本、三塁打28本、盗塁131。特に3年時の地方大会での打率は7割以上を記録しており、1991年にオリックスバファローズに外野手としてドラフト4位で入団されました。

プロ野球に入る前のイチロー選手は投手として評価されていましたが、高校時代に交通事故に遭い怪我をしてしまった事でピッチングフォームが崩れてしまった事を理由に指名を回避する球団がほとんどでした。そんな中、オリックスのスカウトをしていた三輪田さんだけが、イチロー選手のバッティング技術を高く評価し、球団を説得して入団までに至りました。

当時のイチロー選手は体重68kgと細身で、とてもプロ野球では通用するような体型ではないと判断する関係者は多く、期待をする人は多くはありませんでしたが、三輪田スカウトだけはイチロー選手をとても評価されていました。

河村健一郎さんとの出会い

当時二軍打撃コーチをされていた河村健一郎さんは三輪田スカウトから「すごいバッティングの上手い子が入ってくるからよろしく頼む」とお願いされ、あまり期待をしていなかった中、春季キャンプに入り、初めてイチロー選手のフリーバッティングを見た河村打撃コーチは度肝を抜かれました。イチロー選手は入団当初からタイミングの取り方とスイング軌道が安定されており、いとも簡単にヒット性の当たりを連発されていました。また普通の高卒の新人選手は基礎体力が出来ていないため1クール目は元気ですが、2クール目からは緊張と張り切り過ぎでバテてしまう中、イチロー選手はさらに調子を上げ、意気揚々と春季キャンプを通して自分のペースで練習に打ち込まれていました。

イチローの育成方針の決定

当時のオリックスの育成方針では、高卒選手は体力を付けさせる事を最優先にして、始めのキャンプはあまり無理をさせず、少しずつ慣らしていく練習メニューを組んでいました。そんな中、イチロー選手は河村打撃コーチに練習後の特打ちを志願され、二軍監督の根来さんの許可を得て河村打撃コーチと居残りの特打を続けてこられました。そんなイチロー選手の基礎体力とバッティング技術を評価し、根来二軍監督と河村打撃コーチはイチロー選手を二軍で1年間300打席を立たせる事を目標に、1番で使うという事を決定し、本人にもその旨を伝えて将来の主軸を担う選手に育てるため育成方針を固めました。

出典:https://www.google.com/amp/s/www.chunichi.co.jp/amp/article/28410

イチロー選手の長所と短所 指導方針

河村打撃コーチはイチロー選手のしなりのあるスイング軌道とタイミングの取り方を評価し、何かを特別変えるのではなく、身体を大きくする事とバッティングにパワーを付ける事を意識され、イチロー選手の指導にあたりました。イチロー選手のバッティングフォームは独特であり、当時はまだ振り子打法ではなく、小さいバッティングフォームから右足に体重を乗せてスイングをされており、その時に長打を狙うと右肩が開くクセがあったため、その修正のためまずはインハイは打たなくて良いから打ち返せる球をショート方向にライナーを飛ばすよう指導されました。イチロー選手は当時から狙って打ち分けをする事もある程度は出来ており、インコースも思い切り叩いて長打を打つ事も得意とされていましたが、身体の開きを押さえる事を目的としてインコースを打つ技術はいつでも磨けるという事でまずは、ヒットを打てるゾーンを増やす事を意識させて広角に打ち分けるよう指示して試合に出場させました。しかし、河村コーチは全てを流し打ちをしろと指示を出した訳ではなく、たまに試合でインコースを思いっきり引っ張るイチロー選手を注意したり、怒るという事もされませんでした。高卒1年目のイチロー選手は約束を守らなかった事を気にしてか、ライト方向の長打を打つと河村打撃コーチに怒られないか気にした様子で、チラチラと見てしまう事もありましたが、河村打撃コーチはイチロー選手はしっかり自分のやらなければいけない事を分かっているという理由から叱ったり、押し付ける必要は全くなく、逆にイチロー選手の視線から目線を逸らして、気付いていない振りをしてあげていました。

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