石川昴弥選手 中村ノリ打法の断念 本人の感覚と指導の違い 中日ドラゴンズ

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石川昴弥選手 中村ノリ打法の断念 本人の感覚と指導の違い

2022年プロ野球開幕まであと少しですが、オープン戦も残りわずかな、この時期に石川昴弥選手が昨年秋から取り組んでいた中村ノリ打法を断念し、従来の自分のバッティングフォームに戻すことを明らかにしました。

今回は石川昴弥選手の従来のバッティングフォームと中村紀洋コーチの指導方針の相違点についてお話しをしたいと思います。

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昨秋キャンプからの取り組み、中村紀洋コーチからの指導

石川昴弥選手は昨秋から中村紀洋打撃コーチの指導の下、バットの扱い方とタイミングの取り方に重点を置き、打撃フォームの改良に取り組んでいました。

中村紀洋打撃コーチは石川昴弥選手に一般的とされる指導とは違い、下半身よりも手に主眼を置くスタイルを指導されていました。「手8割、下半身2割」 と助言され、

①始動を早くしてボールに差し込まれないよう早めにトップを作る事
②手を柔らかく使い、インパクトの瞬間に前でボールを払うように一瞬のタイミングで力を入れる事
③低めのボールもすくい上げるのではなく、上からボールを潰すイメージで振り切る事

以上の事を指導され、石川昴弥選手のバッティングフォームは今年の春キャンプから現役時代の中村紀洋打撃コーチような神主打法に似ている、手を柔らかく、ゆっくり、リラックスしたような構えとタイミングの取り方をされていました。

その打法のまま、今シーズンのオープン戦に望みましたが、これまで全試合に出場し、打率2割5厘、1本塁打、4打点と中々思うような結果は残せませんでした。

そういった中、石川昴弥選手は、3/18、オープン戦、対楽天戦から従来のバッティングフォームに戻す事を宣言され、その試合でいきなり、ライト戦へのツーベースを放ちました。

石川昴弥選手は自身のバッティングフォームの変更についてこのように語っています。

「正直、練習では打てるけど、あれは試合では打てないです。僕はタイプ的に練習では1年目からもともとそうなんですけど、右中間からセンターへきれいに飛ばすというのが良いときの打撃練習だった。秋から紀さんのをやってみて飛距離も確かに伸びたし、そういう打ち方もあるんだなと思ったけど、実戦に入ると今までの自分の打撃スタイルと全く違うのでなかなか打てない。自分が練習でやりたいのは質のいい低い打球」と吐露する。

ここまでのオープン戦に全試合出場しているが、打率2割5厘、1本塁打、4打点と結果が残せず、ついに元の形に戻すことを決断。「もともとトップの位置を早くパッと決めちゃってというタイプだったので、秋から動かしてやってみて、今までの自分の感覚と、教えてもらったようにやっていた感覚と、どっちがいいのかなと考えたときに。そこは自分の芯だったので、そこがなくなってきてた」と分析する。

それでも両者にわだかまりはなし。「(中村紀コーチとは)基本、ずっと話し合っています。しっかり話をして、こういうふうでみたいな」と説明する。

出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/f9ca8de89f10889f725d3623b84645bb4cacb4f9

以上の事から、石川昴弥選手が中村紀洋コーチと話し合いの末、バッティングフォームの変更を決定した事が分かりますが、実際に中村紀洋コーチと石川昴弥選手のバッティングフォームの相違点とは一体なんだったのでしょうか。

出典:https://hochi.news/articles/20200712-OHT1T50342.html

トップの作り方の違い

両者の報道陣へのコメントやYouTube動画での発言から考察しますと、まずはタイミングの取り方の違いがあげられます。

石川昴弥選手は自身のタイミングの取り方について「もともとトップの位置を早くパッと決めちゃってというタイプだったので、」と語っています。

タイミングを早めに取り、トップの位置を早めに決まる事は中村紀洋コーチの指導方針と相違点はありませんが、手の使い方に違いがあります。

中村紀洋コーチは柔らかく手を使い、ヒッチやコックのように、トップを作る時に余分な動作を加え、タイミングを測っていました。対して、石川昴弥選手は構えの位置から手を一直線にトップの位置に持っていき、その感覚と動作が自分のタイミングの取り方の基本だと自負されています。

あくまで、始動を早めてトップを早く作るという事はお互い共通している動作ですが、トップに持っていくまでの手の動かし方、過程に違いがあるという事になるのではないかと思います。

得意な打球方向と角度の違い

次に本人が得意とする打球方向と角度の違いです。石川昴弥選手は中村紀洋コーチからの昨秋のキャンプでの指導でレフト方向へ大飛球を飛ばす感覚を掴み、柵越えを連発されていました。

しかし、石川昴弥選手は

「正直、練習では打てるけど、あれは試合では打てないです。僕はタイプ的に練習では1年目からもともとそうなんですけど、右中間からセンターへきれいに飛ばすというのが良いときの打撃練習だった。秋から紀さんのをやってみて飛距離も確かに伸びたし、そういう打ち方もあるんだなと思ったけど、実戦に入ると今までの自分の打撃スタイルと全く違うのでなかなか打てない。自分が練習でやりたいのは質のいい低い打球」

とコメントされているように、中村紀洋コーチの指導からの成果と自分の得意とする打球方向と打球角度の違いに違和感を覚えていたようで、練習のようにレフト方向へ打つ事は出来ず、自身の元々の感覚に戻そうと決断されたようです。

この点についても、中村紀洋コーチの打撃スタイルと指導方針とはかけ離れているものではなく、中村紀洋コーチも現役時代は逆方向にホームランを打つ事も得意とされていました。現役時代の落合博満選手が中村紀洋選手に「最初から打つ方向を決めるのではなく、打席ではセンター返しをいつも心掛け、タイミングが早まればレフト方向、差し込まれればライト方向に自然と打球が飛ぶ、グラウンドを90度目一杯に使う事が打率向上の秘訣」とアドバイスされてから、中村紀洋選手はセンター返しを基本として広角に打球を飛ばすバッティングスタイルを確立されていました。

この事から中村紀洋コーチは石川昴弥選手にレフト方向にだけ打球を飛ばすようにしろと指導したという事は考えずらく、今回の石川昴弥選手の発言も中村紀洋コーチの指導方針とは大きく異なる事ではなく、お互い納得しての変更だという事が分かると思います。

また、石川昴弥選手が元々得意とする、逆方向へのライナー性の打球に加え、中村紀洋コーチから指導を受けた事によって、身に付けたレフト方向への大飛球も、今後の石川昴弥選手の活躍のための引き出しとして大きく生きるのではないでしょうか。

落合博満選手が中村紀洋選手に教えたように、センター返しを基本として、打球を広角に打ち分けて、ヒットゾーンを増やす事で打撃の幅がさらに広がったのではないかと思います。

昨年から取り組んできた事をプラスに自分の従来の感覚を大事にして、さらなる飛躍が期待される一年になりそうですね。

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