イチローと少年野球にも通ずるバッティングの基本 河村健一郎さんのバッティング指導①

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イチローと少年野球にも通ずるバッティングの基本 河村健一郎さんのバッティング指導①

子どもに野球を教えるとは?

 前回、イチロー選手の2軍時代に、寄り添い、共にバッティングを作り上げた元オリックスブルウェーブの2軍打撃コーチであった河村健一郎さんからバッティングの中で大切にされていることについてお話しを聴かせて頂きました。今回は葛飾区で河村さんが自身で開いているバッティング指導教室にお邪魔し、実際の指導を見学させて頂きながら、子どもたちへのバッティング指導の方法、大切なことについてお話を伺ってきました。

河村健一郎さんスイング教室HP

河村健一郎のスイング教室
イチローの育ての親 元プロ野球コーチ 河村健一郎のスイング教室東京都葛飾区 足立区 江戸川区 墨田区個別指導を徹底し、1人1人に合った指導を行う。潜在能力を引き出し、レベルアップをはかる。コーチ歴も長く、実績もあるため口コミでどんどん広がっている河村健一郎のスイング教室。

 2軍時代にイチロー選手に寄り添ったように、個性を大切にして、引き延ばすことを第一に置いている河村健一郎さんの考え方、指導の基本についてお話し頂いたので、ぜひ読んで頂けたらと思います。

前回

イチロー選手を育てた河村健一郎コーチから聞いた指導者として大切な事 野球を教えるとは?
イチロー選手を育てた河村健一郎コーチから聞いた指導者として大切な事 野球とバッティングを教えるとは? 私は先日、河村健一郎コーチのバッティング指導を受けさせてもらい、お時間を頂いてバッティングへの取り組み方と指導する際に大切な事につい...

イチロー選手とのエピソード

イチロー選手の下積み時代 河村健一郎さん、新井宏昌さんとの共同作業 振り子打法の完成
イチロー選手がブレイクするまで、下積み時代 イチロー選手は言わずと知れた日本の大スター選手です。メジャーでも華々しい実績を残し、日米通算4367安打は世界記録で、MLBでも通算3089本のヒットを放ちました。そんなイチロー選手...

”子供にバッティングを教える”とは

 結論からお話をすると河村さんが、バッティングの中で一番に大切にされていることは、『形を大事にして強く振る』とのことでした。

 河村さんがバッティング指導される際に、まずは構えから形を作り、正しいスイングで強く振ることを教えています。このことを身に付けて、タイミングが合うと自ずと良い結果が生まれ、プロ野球選手もこの状態を目指して、調整、練習を重ねると思いますが、子どもにとって、タイミングを合わせて強く振るとはどのようなことなのでしょうか。
 また、そこまで導くためにはどのような指導、言葉、感覚が必要になるのでしょうか。この工程の中で、選手を導く教え方、意識のさせ方、言葉の選び方や引き出しの多さが指導の中でとても大切だとされています。

普段から全力で振る大切さ

 そういった中、まず始めに河村さんは練習で一球、一球、“強く振る”ことを必ず意識することが大切だと話されています。

 数をこなそうとして、緩めたり、ペース、力を加減したりする練習メニューはあまり意味がなく、まだ出来上がっていない子どもの体では、強く振れる回数は限られてくるとのことでした。子どものうちは、大人が指示したことや、組んだ練習メニューを言われたように実践したり、自分の疲れや体力に気がつかず、がむしゃらに練習に取り組んでしまったりすることがあると思いますが、必ず限界というものがあり、限界を超えたスイングやバッティング練習はこなすことを体が覚えてしまうため、あまり意味がありません。

 そういったことを避けるため、数を決めて強く振る、全力で振れる回数にスイングもバッティング練習もある程度範囲を決めて、ストップをかけることも必要となり、休憩を挟み、常に全力でスイングする癖を普段から身に付けるよう導く必要があるとのことでした。

 このように“強く振る”癖が将来、体が出来上がった時に、その姿勢が本領発揮し、自身の成長に戸惑うことなく実力を発揮し、他の選手と差をつけることができるとお話しされています。

体格で決めつけない、少年時代からできること

 また、少年野球はどうしても、発育により個人の体格差があり、体が大きい選手が有利な競技になってしまいます。そのため、レギュラー選手や中心選手は体が大きく、身のこなせる選手が頭角を現すことが多く、試合でも自由にバッティングをさせることが多くありますが、よくある間違いとして、まだ体が出来上がっていない小さい選手にゴロを転がすよう指導したり、バットに当てることに専念させたりと、スケールを狭めるような指導をしてしまうことがあります。

 このようなことを、子どもに強制してしまうと、中学、高校と段々と体が出来がっていっても、強く振る癖が身についておらず、バッティングフォームを一から作り直す必要性が生まれ、いざ強く振ろうとしても、その形が出来上がらず、強い打球が打てないということも起こり得ます。このようなことが起こらないよう、子どものうちから、正しいフォームで強く振るということが、バッティングにおいて基本的な考えだということを理解し、子どもの体格差で判断し型にはめる指導は避けるべきだということが大切になるとのことでした。

 もちろん、体格によって、バットを持つ位置を調整したり、重さ、長さに合うバットを選んだりすることも大切になり、同じ強く振るという意味でも、その工程は選手によって様々ですが、持つべき形と意識は、“強く振る”ということを念頭に置いて頂けたらと思います。

実際の指導する姿を見て

 河村さんは、自身のバッティングスクールでは、子どもたちのバッティングを強く振る姿を嬉しそうに見守っていました。決して打ち損じや空振りを責めることはなく、しかし全力で振れなくなり、形が崩れてきたら、すぐに声を掛け休憩を挟み、なぜ形が崩れたのかじっくりと解説、指導し、上手く出来た時は子どもたちを褒め、継続していくよう促していました。

 

 また、河村さんは、“強く振る”感覚について、体の大きさは関係ないが、タイミングと形が崩れると完成しないとお話しされています。強く振ることは、ただ我武者羅に力一杯振ったり、ホームランを意識して、アッパースイングやドアスイングで振ったりすることではないとのことでしたので、次回は、正しい形で強く振るためにはどうしたら良いのか、何を教えたら良いのかについて、バッティングの中で形を作るということ、タイミングの取り方について伺ったお話と実際の指導方法についてお話したいと思います。

 このサイトでは複数回に渡って、河村健一郎さんからお話し頂いたバッティング指導について情報を発信したいと思っていますので、今後ともお付き合い頂けたらと思います。ここまで読んで頂きありがとうございました。

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