子どもたちの野球離れに終止符 少年野球は個人競技!?新しいスポーツの楽しみ方

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子どもたちの野球離れに終止符 野球は個人競技!?新しいスポーツの楽しみ方

 近年、若年層の野球離れが加速し、少年野球の競技人口も大幅に減少しています。その要因として、公園や広場で球技を禁止され野球やキャッチボールが出来る環境がない事や、チームに加入すると、バットやグローブ、スパイクなどの高級な道具を揃えるための経済的負担、またお茶当番や審判担当などの保護者の拘束、負担などが挙げられます。また少子高齢化に伴い地域の過疎化が進み、チームを結成、維持する事が難しくなっている事も現実です。

 現代社会では、野球を始めるという事は大きなハードルとなり、チームとして活動する事も簡単なことでなくなってきました。近年ではスポーツも多様化し、個人競技である水泳や体操、卓球、バドミントンなどを習う子供たちも増えています。個人競技は、競技スペースも比較的小規模で行うことが可能となり、あくまでも自身の能力を伸ばすために練習時間も有効活用でき、出場機会や実戦の機会も得られやすいため、成果とやりがいも実感しやすい環境が整いやすくなっています。以上の事がかけ離れた存在として野球というスポーツがあり、競技人口を減らす大きな要因になっているのではないかと思います。

 こういった現実がある中、チームスポーツである野球はこれから衰退する一方なのか、それとも新たな変化、取り組み方が野球というスポーツに可能性が潜んでいるのか、以上のことを踏まえて今後の野球の楽しみ方について考察したいと思います。

日本での野球の在り方

 日本では、チームスポーツでは「自己犠牲」「フォア・ザ・チーム」というものが大切だと考えられる傾向が多くあります。この考え方は集団で動く中で非常に大切な事であり、規律を守る大切な考え方になります。社会の中でこのような考え方はとても大切になりますが、この考え方をスポーツに取り組んだばかりの子供たちに、無意識に押し付けてしまっている傾向があるのも日本のスポーツの中で課題の一つとして考えられます。

野球の課題

野球は9人で行うスポーツであるため、どうしても、主役、脇役という立場、役割の違いが出てしまう傾向にあります。野球の本質である打つ、守る、投げるという楽しみに触れる事なく、自己犠牲の精神に小学生、特に低学年のうちに経験し、強制されてしまうと野球本来の楽しさを触れる機会を失ってしまいます。この事も野球離れの一つの要因となっている可能性は非常に高く、個人競技と大きく異なる点になるのではないでしょうか。

チームスポーツのメリット

 しかしチームスポーツだからと言って、全て個の楽しみが奪われるかというとそうではありません。チームスポーツだからこそ、勝負の決着が分からない事や、一人の力量以外の部分で補う事や、予想外の結末が待っているのもチームスポーツの醍醐味です。個人競技はある意味、試合に勝利したり、良い記録を出したりするためには、自分との戦い、自己責任という言葉がどうしても纏わりつきます。ある意味、孤独の中で自分と戦う強さも求められ、個人競技、団体競技それぞれにメリット、デメリットが存在する事は確かです。

 このようなメリット、デメリットがある中、どうしても、勝利やチームの結果を求めるあまり、個人の能力や成果、やりがいを奪ってしまっている事自体が大きな課題となり、野球の競技人口を減らす大きな要因になってしまっています。この課題をクリアする事と保護者、費用の負担が減る事で、野球というスポーツも取り組みやすい楽しいスポーツになるではないかと私は思います。

野球を楽しいスポーツにする方法はただ一つ

 個人のやりがいとチームの勝利、この2つのバランスを両立させるという事は、野球界だけではなく、チームスポーツの難しさとして常に付き纏う課題です。しかし、この2つを両立してチームを運営する方法は存在します。

 それは、チームを個の集合体だという事を改めて認識する事です。特に作戦面や自己犠牲の精神をあまり必要としない少年野球では、個人の能力を伸ばした結果、勝利に結びつくという経験が第一優先になります。打席が日頃の練習の発表会になっても良いと思います。打席で良い結果を残すため、日頃から強い打球を打つ事を意識してバッティング練習を頑張る、バッターから三振を獲るために速い球を投げる練習をする、このように打つ、投げる、走る、守るという事を純粋に楽しんだ結果、勝利があるという事が理想になります。個人が活躍するための練習方法とアプローチ、技術を選手と考え試合で実践する、この試行錯誤がスポーツの醍醐味になるのではないでしょうか。

 そのためには選手の出場機会の確保も非常に大切になります。いくら練習を頑張っても本番で試す場面がない事には、努力が目に見える結果として残りづらくなってしまいます。それは選手のやりがいを奪う結果にもなってしまいますので、実践の場を設け、失敗したら何が課題なのか選手と指導者は共に考え、また再度挑戦する機会を設ける過程がとても大切になると思います。

 そのためには、レギュラー選手の固定に拘らず、場面に応じた選手の起用やなるべく試合出場の機会を増やす起用方法や試合の組み方も必要となり、その結果少数の部員でのチーム体制で運営し、一人ひとりに行き届いた指導することもまた一つの方法になります。もちろん全てのチームがこの方法と体制でチームを運用すると言うことは難しいと思いますが、チームという団体競技の中で個人の能力、技術の向上を尊重し、選手の出場機会の確保を大切にする中で新たなチーム体制づくりや創意工夫が生まれるのではないかと思います。

 そして、指導者はこの考えを大切にして、選手が活躍できるための機会ときっかけを与えるサポートに徹し、その中に助言、指導、アドバイスの引き出しを増やすことが大切になり、一人ひとりがやりがいを持つ事がスポーツのあるべき姿だと思います。是非その姿勢を持つことで自然と野球の在り方も楽しみも再認識され楽しいスポーツに変わっていくと私は思います。

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