千葉ロッテ、佐々木朗希投手 完全試合達成 その要因と成長の明かし フォークが魔球に

SNS

千葉ロッテ、佐々木朗希 完全試合達成 その要因と成長の明かし フォークが魔球に

4月10日対オリックス戦にて佐々木朗希投手は完全試合と共に日本新記録の13人連続奪三振、日本タイ記録の1試合19奪三振を達成しました。

まさに圧巻となるピッチングで大記録を達成した佐々木朗希投手ですが、この記録の背景にはどのような要因があったのでしょうか。今回は佐々木朗希投手の大記録達成の背景、要因について分析をしたいと思います。

腕の振り(ストレートとフォーク)

この試合で大きな威力を発揮したのは160キロ代のストレートと悠に140キロを越すフォークボールのコンビネーションでした。投じた105球のうち、ストレート64球、フォーク36球、カーブ3球、スライダー2球となり、ほぼ真っすぐとフォークの組み合わせで完全試合を達成しました。

この試合、3三振を喫した吉田正尚選手は「完全に相手が上だったと思います。今日は完全にやられました。(軌道と)接点がなかった。直球も対策しましたけどフォーク待ちで最後(振りに)いっても、最後(バットが)出なかったです。フォークがストーンと消えるので」と語っています。

吉田正尚選手のコメントからもオリックスの選手はストレートとフォークの見極めにとても苦労し、分かっていても打てない、球種を張っていても反応出来なかったという異次元レベルの球質だったという事が伺えます。

ストレートには差し込まれ、フォークはストレートの軌道と重なり空振りを誘われるという、まさに無双状態だった佐々木朗希投手ですが、このようにストレートとフォークを有効に活用できた要因としてリリースの高さと角度にあります。

佐々木朗希投手は190cmを越す身長を持ち、いわゆる投げ下ろすような感覚でバッターに球が向かっていきます。またストレートの球の回転数は2500〜2600となり、プロ野球平均は2200回転、空振りを誘うストレートは2400回転からとされており、佐々木朗希投手のストレートの質の高さが分かると思います。

また、佐々木朗希投手のストレートはシュート成分が強く、ホップ成分を生かせず、回転数の割には空振りを誘えないという場面は度々見られましたが、この試合に限っては縦回転の綺麗なストレートが目立ち、元々高めに浮いた球も差し込まれファールになり、浅いカウントではストレートを中心カウントを稼ぎ、追い込んだ場面ではフォークを中心に空振りを誘うというピッチングスタイルが完成されました。

また、ストレートとフォークの軌道もリリースが一定しているため、変化が始まるまで見極めが付かず、判断がついた頃にはベース上にボールが届いているという、まさに手も足も出ない2つのコンビネーションとなったと推測されます。

この2つのコンビネーションが出来上がる事で、無駄な球を放る必要がなくなり、どんどんストライクを取りに行くという事が可能となり、この試合でスリーボールにしてしまったのは7回表の後藤駿太選手の打席のみになりました。

出典:https://www.yomiuri.co.jp/sports/npb/20220410-OYT1T50151/amp/

松川虎生とのバッテリー

佐々木朗希投手(20)と松川虎生選手(18)は2人合わせて38歳という異例の若さのバッテリーです。松川虎生選手は高卒1年目でキャッチャーとして開幕スタメンとして出場し、これまでもキャッチャーとしての起用が続いています。

この試合での松川虎生選手の光った点として、キャッチング能力にあります。佐々木朗希投手のボールは先程もお伝えした通り、バッターも判断が難しい球であるため、当然キャッチャーも捕球がとても難しい球になります。高卒1年目の選手がプロ野球のトップクラスの球をエラーなく捕球を続けるという事はとても異例な事だと思います。

ヤクルトスワローズの古田敦也さんは松川虎生選手のキャッチングのうまさの要因は、高校時代に小園健太投手という、高校トップクラスの投手とバッテリーを組み続けた事をあげられています。小園投手は150キロに近いストレートと鋭いスライダーとフォークを投げるため、常に質の良いボールを捕り続けた事で、プロ野球の世界に入っても、そこまでギャップを感じずに済んだのではないかと考察されていました。

また佐々木朗希投手のピッチングを生かすリードも冴え渡り、特に4回表の対吉田正尚選手の場面では、1球目にそれまで投じていなかったインコースカーブで裏をかき見逃し、2球目さらに同じインコースカーブを投げ空振り、3球目低めフォークでファール、4球目に低めボール球のフォークで空振り三振と、今までのバッターには見せなかった大胆な攻めで見事、吉田正尚選手を封じ込めました。

松川選手本人も「正尚さんにカーブを2球続けたところが本当に分岐点だった。正尚さんの思ったところじゃなかったと思うし、その後の(三振を奪った)フォークが生きたと思う。」とあの場面での意図を語り、その日の吉田正尚選手の3三振への見事布石となりました。

出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/1114692a432a5625d2adf0b6169e0f31b152bc35

千葉マリンスタジアムという球場

千葉マリンスタジアムは海沿いに位置しているため強風が吹く球場として有名ですが、バックスクリーンから吹いた風がバックネットに当たり跳ね返ってくるという特徴を持っています。そのためピッチャーからすると向い風になり、変化球を投げると風の抵抗で思わぬ変化を起こしたり、変化量が非常に大きくなるという現象が起こります。ロッテOBでアンダースローの使い手であった渡辺俊介投手や90キロ代のスローカーブを武器にしていた、元オリックスの星野伸之投手はこの現象を利用して、風にぶつけて投げるという感覚で変化球を放っていたと後に語っています。またこの風を利用し、元ロッテエースの小宮山悟投手は千葉マリンスタジアム専用の変化球、シェイクを開発し、ナックルのような要領で利用していた場面も見られました。

特にフォークボールのような回転の少ないボールは風の抵抗の影響を諸に受けるため、急ブレーキが掛かったり、いつもより落差が大きくなる傾向にあります。佐々木朗希投手と並んで1試合最多奪三振数の記録を持つ元オリックス野田浩司さんも千葉マリンスタジアムでの記録達成となり、決め球は落差のあるフォークボールでした。

このように千葉マリンスタジアムは投手有利な球場となり、中でもバックネットから吹く向い風はピッチャーの変化球にかなり影響し、今回の記録達成に大きく影響を与えた要因の一つになったと言えるでしょう。

今回の記録達成は佐々木朗希投手の実力を強く見せつけ、圧倒的なピッチングで能力の高さとポテンシャルを世に広めました。今後も更なる活躍が期待でき再び完全試合達成もそう遠くはないように見える素晴らしい投球でした。これからの更なる活躍を期待したいですね。

野球技術向上同好会 YouTubeチャンネル開設 スキルアップ 指導のために
野球技術向上同好会 YouTubeチャンネル開設  野球が大好きな人たちへ向けて、将来の野球選手のために 2022年2月より野球技術向上同好会のYouTubeチャンネルを開設しました。 今までは自分が得た知識、情報をサイト...

バッティング技術投稿記事

バッティングの基本④ 落合博満選手のバッティング理論 バッティングの原点

バッティングの基本 総合編 YouTubeから学ぶこと(ホーライスイング、令和スイングetc)

バッティングの基本 ①力を使わずバットを振る。バットの重さと遠心力、てこの原理を活用する

バッティングの基本 ②縦振りについて 肩と体の軸を縦に使う

バッティングの基本③ 割れについて気をつける事 2度引きをしない、トップの作り方

タイトルとURLをコピーしました