打者編 アウトロー(外角低め)への対策 野村克也

スキルアップ

アウトロー(外角低め)の攻略法

 アウトロービタビタの投手と遭遇したら

 前回はアウトローこそ原点という内容を配球、組み立てという目線でお話をさせて頂きました。打者にとって一番打ちづらいアウトローですが、今回はこのアウトローに対してどのように捉え、対応するのか打者目線でのお話です。

 実際の試合ではアウトコースにきっちり投げ込める投手といつか対戦する機会はあると思います。そういった投手を打ち崩す事はとても難しいでしょうが、攻略法を分かっていると意外と簡単に対応できるものです。今回はその攻略法についてお話をしたいと思います。

前回 投手編 アウトロー(外角低め)こそ原点 リード論 野村克也

外角を気にせずインコースに強くなれ!(振りをしろ)

 結論からお話するとアウトコースをきれいに打ち返すことはとても難しいです。そのためわざわざそんな難しい球を打つ必要はありません。アウトコースを攻略するためには内角球や甘い球をしっかりと打ちかえせるようになることが必要になります。もしくはインコースが強いと見せかけることでも良かったりします。(代表例:清原和博選手)

どんなに良い投手でも付け入る隙はある

 前回もお話した通り、アウトローはどんな好打者でも得意としている人は少なく打ち返す事は困難です。しかし、どんな好投手でも100%の確率でアウトローに投げ切れる人も存在しません。

 野球というスポーツは失敗が多いチームが負けてしまうスポーツですが、野球をプレーしているのは人間です。人間のする事に100%はありません。否が応でもどこかでミスや失敗をしてしまうものです。

 どうしても起こってしまうミスや失敗ですが、そういった事は準備不足や意識や思考の隙から生まれます。そういった相手の準備不足(伏線をしっかり張っていない、予想をしていない)や意識の隙を突く事が野球というスポーツの中でとても大切になってくると思います。

アウトローを活かすためにインコースがある。そのインコースを叩け!

アウトローとインハイの関係性:インコースを使う理由

 話を戻しますが、バッターのアウトロー対策の視点でこの事を当てはめるとバッテリーのアウトローで組み立てをする、もしくは決め球にする工程の中で隙を突くという事になります。もしくはことごとく自信になる球をファールにされ、苦し紛れにアウトローを投げるしかない場面を作る事も手段の一つです。

 それではアウトローを組み立てするバッテリーの心理とその工程の中でどのように隙を突くのか紐解いていこうと思います。

 前回はピッチャーがアウトローを活かすためには対極(対角)であるインハイを利用するというお話をしたと思います。アウトローを一辺倒だとそのピッチャーの技量にとても左右されますし、次第に目が慣れて対応されると共にそのコースを狙い撃ちされる恐れがあるため、そういった配球の方法は現実的ではありません。そのため以上の根拠と目的を持ってインハイを使います。

①バッターに内角へ意識付けさせる。(内角を使うぞと思い込ませる)

②体を起こさせる(目線も含む)外角へ踏み込ませない。

③甘い球に見せてボール球の空振りを誘う。

 この3つの事を根拠にしてインコースを使いますが、アウトローを有効的に使うにはインコースをうまく利用するということは必須条件になるのです。内角、外角をうまく出し入れして配球を組み立てるという工程がバッテリーには必要になるのですが、それではこの工程の中でバッテリーに対してどのような手段、方法で隙を作る事が出来るのでしょうか。

 そこで今日の結論である「アウトローをきれいに打ち返すことに拘らない」「内角に滅法強くなる(もしくはバッテリーにそう思わせる)という事に繋がります。

インコースを使いづらくしてアウトコースの効果を薄めよう

 アウトローを有効に使うためにはインコースがとても重要になるのは再々お話をしてきたと思います。そこでキーポイントであるインコースを気軽に使えなくしてしまう事がとても重要になるのです。

先ほどお話したインコースを使う3つの理由の他に野村克也さんはこのようにまとめています。(著者:野村克也、タイトル:「野村ノート」小学館,2005.P45-46 内角球論)

①内角球を見せて意識付けをさせ、打者の壁を崩したい(内角球が効果的な打者)。

②内角に投じることで、対となる球種(緩急、内外)を活かしたい。

③内角球をフェアエリアに打ちこなす技術は難しい(ファールを打たせる)。

④打者が内角に弱点を持っている場合。

⑤右打者が右方向を狙っていると読んだとき。

⑥内角でゴロを打たせ、併殺を狙うとき。

⑦配球によってバッターに内角へ死角ができたと読んだ時。

 以上の事を目的にしてバッテリーはインコースを利用してきますが、インコースに強くなり打ち砕く事、もしくはバッテリーに打たれそうと思わせる事で、この7つの理由を打ち消す事ができます。

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バッテリーの幅を狭くして好球だけを打つ

 このようにインコースを使える条件を打ち消していく事でバッテリーの組み立ての幅を一気に狭まり、アウトコースに投げるしかなくなってしまいます。今まではバッテリー目線でバッターへ意識付けをさせるお話をしてきましたが、これはバッテリーを逆にコースや球種に意識付けをさせる、打たれる悪いイメージを刷り込ませるお話になります。

 バッテリーがインコースを怖がって外一辺倒になると対応は簡単になります。アウトローギリギリいっぱいがピークになりそれより内に入って来た球は甘く見え意外と簡単に打ち返せるものです。

 要するにアウトローというわざわざ難しい球を打たなくても打ちたい甘い球だけしっかり捉えるということを徹底する事がそのままアウトローの攻略法になります。

まとめ

①アウトローを活かす球であるインコースを叩く

②インコースを使いづらくしてアウトコースにしか投げられなくする

③バッテリーの配球の幅を狭くして、嫌なイメージを持たせる。

④アウトローを打つ事に拘らず、好球必打を徹底する。

次回

 以上、外角に拘らず、内角に滅法強くなることの大切をお話しましたが言葉で言うのは簡単です。内角が苦手な人もいるでしょうし、うまく意識することも難しく感じる人も多いと思います。

そこで次回はバッティングにおいてインコース含むコース別の正しい対応についてお話をしたいと思います。

次回 バッティングの応用① コース別の対応方法スイング 軌道とインサイドアウト 篠塚和典流練習方法

 先ほどもお話をしましたがバッテリーにインコースが得意だと思わす事が出来れば、実際にインコースに強くならなくても良いのです。またアウトコースが得意なのであればアウトコースに誘い込めれば良いのです。(代表例:清原和博選手)しかし弱点がバレてはったりも通用しなくなる時が来るかもしれません。その時のためにインコースに苦手意識を持たず正しく対応する方法を共に検討出来ていけたらと思います。

 もう少しお話したいこともありましたが、これ以上だと長くなりそうなので今回はここで人区切りさせていただきます。読んでいただきありがとうございました。

おまけ

清原和博VS東尾修

 この清原選手と東尾修投手は黄金期西武ライオンズの主力であり、敵チームとしてお互い戦った時はありません。しかし私はこの2人が実際に敵チームになった時にどんな勝負をするのか、アウトコース、インコースの駆け引きについて話題になるとつい想像してしまいます。

 ご存知な方も多いと思いますが東尾修選手の代名詞は「喧嘩投法」であり、今回お話したインコースへの意識付けをとても過激的に実践してきた人です。東尾選手はアウトコースのスライダーとインコースのシュートを駆使して投球を組み立てますが、バッターにアウトコースに踏み込ませないためにわざと胸元に投げ込み、デッドボールをぶつけても構わないという態度で躊躇なくインコースへ投げ込む投手です。また強打者や踏み込んでくるバッターに対してはわざとぶつけるという事もいとわなかったというお話がよく聞こえてきます。(前の打席で頭にデッドボールを喰らった落合博満選手が、東尾投手にピッチャー返しを狙ってぶつけたお話は有名ですよね。)

 対して清原和博選手はインコースをあまり得意とせず、最後まで克服したとは言い難い形で現役を引退されました。しかしアウトコースに対しては素晴らしい右打ちでライトスタンドにきれいに運ぶという打撃が清原選手のお家芸でした。そこで編み出されたのがインコースの厳しい球が来ても動じず、恐れもなく踏み出していくという方法です。(こちらも有名ですが、巨人時代に恐れもせずインハイを攻める阪神の藪恵一投手に3度もデッドボールくらい、マウンドに向かい激怒したシーンが印象深いですよね。)

 インコースとアウトコースの出し入れと駆け引きを売りして、ぶつけてぶつけられてを象徴した2人ですが、勝負に徹してきた二人の対戦はとても熱いものになりそうです。まさに勝負の世界という感じですね。ちなみに東尾投手の通算与死球数は歴代1位の「165」で、対する清原選手の通算被死球数は「196」とこれまた歴代1位です。

 しかし現実的な話をすると清原選手と東尾投手は年代がある程度離れていますので、この勝負は先輩である東尾投手がベテランらしい投球術で軍配が上がると私は思います。賭けても良いです。

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