変化球講座① 亜細亜大ツーシームの投げ方(改良版)
みなさんは亜細亜大ツーシームとはご存知でしょうか?プロ野球界で浸透したのは亜細亜大学出身の横浜DeNAベイスターズの山崎康晃選手が決め球として使っていた事から始まります。同じ亜細亜大学の後輩である、広島カープの薮田投手、九里投手も使用し、最近では國學院大學のヤクルトスワローズ清水昇投手もこの亜細亜大ツーシームを決め球にしてセットアッパーとして活躍しました。そんな亜細亜大ツーシームですが、起源は同じく亜細亜大出身の東浜投手が沖縄尚学高校時代に習得してボールであります。今回はそんな亜細亜大ツーシームについて解説をしたいと思います。
ちなみに私も元々ツーシームを投げていましたら、フォークの要素を加えた所、草野球でとても有効だという事が分かりました。私は読売ジャイアンツの西本聖のシュートボールとソフトバンクホークスの千賀投手のフォークボールをヒントに変化量の多いツーシームに辿りつきましたが、結果的にこの亜細亜大ツーシーム系統と同じボールに辿り着いた事になりました。とても有効な球だと私自身実感していますので、皆さんにも是非実践してもらえたらと思います。
亜細亜大ツーシームとは!?
亜細亜大ツーシームとは、一言で言えば変化量の多いツーシームとして捉えて頂けたらと思います。亜細亜大ツーシームには3つの変化の性質があり、ツーシームのようなシュート回転に加え、シンカー系の変化が大きかったり、またスプリット系のように縦にも落ちる変化の性質もあるため、ツーシーム、シンカー、スプリットの中間に属する変化球になります。そのため、投げる人によって感覚と意識は異なり、シンカー系の変化量が多い場合や、ストレートの軌道の性質が強くツーシームとして活用をする場合や、フォークボールのように扱い決め球として空振りを誘うために投げる場合もあります。ツーシーム、シンカー、スプリットの要素の強弱は投げる場面や投げる人によって変わりますので、その性質を知ったうえで、3つの要素の強弱をいかに自分の持ち球としてコントロールするかが大切になると思います。
出典:https://baseballgate.jp/p/154230/ 共同通信
亜細亜大ツーシームの始まり
亜細亜大ツーシームの起源は沖縄尚学時代のソフトバンクホークス東浜巨投手が、シンカーとして習得した球種でした。しかし、当時のメディアも東浜投手の持ち味はツーシームだと報道も多く、この時点でツーシームとシンカーの境目が曖昧になってきているように思います。現代野球において、変化球の種類は激増しており、多少の変化、スピードの違いでも名称が変わってしまいます。また、球種は自己申告制の部分が強いため、似ている変化球があったり、同じ変化球に見えても、本人が違うと言ってしまえばそれまでの風潮もあります。そのため、変化球を一つの名称で一括りにする事は難しい事で、多種多様になってしまった変化球ですが、亜細亜大の投手陣で引き継いで習得していく過程で、それぞれオリジナル要素が加わった背景が窺えます。そういった東浜投手のツーシーム(シンカー系統)のボールは全て亜細亜大ボールとして一括りになっています。
経緯の予想
当事者の証言が全て正しいという前提に立てば、以下のような時系列になると考えられる。
2006年、沖縄尚学高校の東浜がシンカーを習得する。
2009年、東浜が亜細亜大学に入学する。
2009年~2010年、亜大監督の生田が野茂のフォークをヒントにして、東浜のシンカーを手首を立てた状態で投げられる縦変化の特殊球に改造する。
2010年、九里が亜細亜大学に入学する。
2010年~2011年、東浜が九里にシンカーの握りを見せる。九里はツーシームだと思い、教わった通りに投げる。
2011年、山﨑と薮田が亜細亜大学に入学する。
2011年~2012年、東浜が山﨑と薮田にシンカーの握りを見せる。九里が山﨑と薮田に東浜のツーシームの投げ方を教える。山﨑と薮田は「東浜にツーシームを教わった」と思い、教わった通りに投げる。
2013年~2015年、山﨑が抑えに転向してイニングが短くなったのを機に腕を強く振ってツーシームを投げたところ、落差が大きくなる。薮田がホームランを打たれたことを機にツーシームの握りを深くして、落差を大きくする。
出典:https://wikiwiki.jp/livejupiter/%E4%BA%9C%E7%B4%B0%E4%BA%9C%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB
亜細亜大ツーシームの投げ方
握り方
亜細亜大ツーシームの基本が分かりましたら、後はご自身の投げやすいようにアレンジ次第なのですが、まずはツーシームの握りから、指を広げてボールを挟むように握ります。この指の広さも個人の自由なのですが、ツーシーム要素を強めたい場合は指の幅を狭くしてみてください。逆にあまり指を広げ過ぎてもフォークボールの要素が強くなるため、感覚としては、ストレートの球速をある程度維持できるくらいの指の幅で、最後少しボールを指から抜きやすくなるくらいの丁度良い幅を見つけて頂けたらと思います。(ツーシームとフォークの中間)
出典:https://note.com/bourbontech429/n/n994248ebbb0f
投げ方
この握り方を自分の中でしっくり来ましたら、若干シュートを投げるみたいに人差し指でボールを外側に引っ掛けて頂いたらと思います。このシュート、シンカー回転を掛ける感覚についても千差万別で、チェンジアップを習得している方でしたら、先程お伝えさせて貰った握り方で、チェンジアップのように抜いても良いでしょうし、すでにツーシームを習得している方でしたら、フォークの要素を強めて、少し抜くように低めを目掛けて落としても良いと思います。シンカーを得意球としている人は少し球速を早めて、縦回転を意識する事でツーシーム要素が強くなるかもしれません。要するにツーシーム系統を基本として、自分の持っている変化球と球質の要素を付け加えると亜細亜大ツーシームに近い、自分オリジナルの新しい球種が発見できると思います。
私が投げている亜細亜大ツーシーム
先程もお伝えさせてもらいましたが、私が亜細亜大ツーシームに近い球を発見できたのは、読売ジャイアンツの西本聖投手のシュートとソフトバンクホークスの千賀投手のフォークを参考にしたお陰でした。
千賀投手のフォークボール
千賀選手のフォークボールの握りはボールの縫い目を斜めに掛けてボールを挟み、人差し指だけを縫い目のカーブに沿って掛けています。千賀投手のフォークの握りは浅めにボールを挟み、人差し指だけが縫い目に掛かっている事で、どちらかというとシンカー気味にボールを抜きやすい握りとなっており、縦回転のフォークボールを投げられなかった私としては、とても投げやすい握り方になっていました。
出典:https://kusayakyuu.site/pitching/breakingball/3194/
千賀投手のフォークの握りについて トクサンTVより
西本聖投手のシュートボール
この話は人づてに聞いたお話しでしたが、西本投手のシュートボールはリリースする時に、肘を机の上をバンと手のひらで叩くイメージで投げているとの事でした。この感覚をツーシームの感覚に取り入れ投げてみましたら、シュート方向に変化させる事ができました。ツーシームやシュート、シンカーを投げる際にどうしても腕を外側に腕を捻ろうとする選手が多いですが、そのような投げ方は無理のある投げ方になり肘への負担が大きくなってしまいます。西本投手はキレのあるシュートを代名詞として同じチームのライバル江川卓投手と共に切磋琢磨し、巨人軍のエースとして、沢村賞を獲得した投手でした。そんな西本投手のシュートボールが腕を捻らず、手のひらを前に出す感覚だという事を知り、私はどんな変化球も腕の振りの大きさや向きで変化量が決まるのではなく、指先の感覚やボールを抜く感覚、引っ掛ける感覚で十分変化を起こす事が出来るという事を知る事ができました。
ツーシーム(西本)とフォークボール(千賀)の合体
そして、私は西本投手のシュートの腕の振りと千賀投手のフォークボールの握りでツーシーム系統の球を意識して投げてみましたら、見事落差のあるシュート系のボールを投げる事が出来たのです。内角に投げるとシュート系統とフォーク系統が混ざり、シンカー系で斜めに落ちるボールに、指が外角の方に引っ掛かると少しスライドしながら縦変化になり、低めに投げるとフォークのように落差を活用する事が出来ました。プロ野球中継を見ていますと、山崎康晃投手や清水昇投手も同じようなシンカー方向へのツーシームを投げていましたので、このボールの活用方法について参考にさせて貰いました。
まとめ
このように亜細亜大ツーシームに正解はなく、ツーシームをいかに有効に使うかという発想とツーシームに変化量、落差を加えた事で生まれたボールでした。私のように、フォークボールやシンカーボールの変化量で悩まれている方や、落とす事に苦手意識のある方は亜細亜大ツーシームのように変化の小さいツーシーム系の変化球に挑戦する事も選択肢の一つになるのではないかと思います。
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