野球の試合は長い ベンチでの過ごし方 リラックスと集中
皆さんは試合中にベンチでどのように過ごしていらっしゃいますか?野球というスポーツはプレーしている時間より、待機している時間の方が長いスポーツです。そして1試合2時間以上を要するため長い時間集中力を保たなければなりません。そのため、プレー中の集中力も大事ですが、ベンチで待機している時間やプレーまでの準備する時間はとても大切になりますので今回はベンチでの過ごし方について解説したいと思います。
人の集中力の限度
人の集中力には限界という物があります。
文部科学省も、小学校の授業時間の1単位の標準を45分としています。 さらに、人間の集中力の限界としては「90分」が目安とされていて、例えば大学の授業時間やサッカーの試合などがそれにあたります
出典:みんチャレブログ https://minchalle.com
このように人が連続して集中できるのは90分が限界になります。皆さんは学生時代に45分や90分間の授業を全部集中して受けられたでしょうか?私は10分も集中力が続きませんでした。
野球の試合は120分近くあります。プロ野球でしたら180分を越える試合がほとんどですので、90分の倍の時間を全て集中する事は正直不可能だと思います。
スイッチのON.OFF
そこでスイッチのON.OFFの切り替えのうまさが大事になります。野球は長時間の競技であり、試合中でも大事な局面や山場など状況は常に変化します。普段はなるべくリラックスした状態で試合に臨み、その状況に応じて自分の役割をしっかりとこなすために、ここぞという時の一極した集中力が大切になります。
しかし他の場面でリラックスしているからといって、手を抜いたり、気が抜けて他のことを考えたりしている事はご法度です。そこで正しいリラックスの仕方と集中の仕方を考えていきたいと思います。
気を抜くのではなく気を吐いて入れ替える(リラックス)
リラックスとは脱力をイメージされる方もいらっしゃると思いますがそれは間違いとなります。スポーツにおいてリラックスとは、余計な力が入っていない状態で体がいつでもスムーズに動かせる状態を指します。脱力とは文字通り気を抜いてしまい、そのまま手を抜いてしまう事に繋がります。呼吸を意識して気を吐く事で脳内はゆっくりした状態に持ち込み、体の余計な力を抜き緊張は筋肉を固まらせる事なくいつでも動き出せる状態にする事で、集中力が長く持続させる事ができます。
試合の流れを掴む(予測と準備)
リラックスした状態を保つ事が出来たら、試合の流れを掴むようフィールドの雰囲気に意識を向けましょう。選手にはそれぞれ役割とタイプがあり、レギュラーであろうが、控え選手であろうが、ここぞという場面でそれぞれに役割と仕事があります。まずは自分の役割を理解して、この場面は自分の出番がありそうだとか、こういう試合展開で自分に役割があったらこうしようなど、様々な予測を立てたうえで必要な準備をする事が大切になります。逆の視点からお話しをすると自分の役割と関係ない場面や試合展開では必要以上に集中力を高めたり、いつも全力でいつでも出れる準備をしなくても済むようになります。状況と試合展開を把握したうえで自分の役割を理解して必要な準備をする様にしましょう。また、試合展開を読んだり、プレーの内容を気にしてみていると確実に考える力が着きます。精神はリラックスした状態でも思考をストップする事は試合中はなるべく避けるようにしましょう。
声を出して考えた事や気付きを表出(アウトプット)
声を出すという事は、「ファイト」や「がんばれ」など意図の無い声出しはあまり意味のない行為になります。声を出すという事の大切なポイントは、試合展開の中で何故そのような声掛けをしたのか説明できる根拠がある事が大切になります。言葉というものは自分の頭の中の思考そのものです。声出しや声掛けは選手同士やベンチのグラウンドの意思疎通や情報伝達であるという事を理解しなければなりません。意図の無い声掛けを続けてしてしまうと選手やベンチでプレーに対する確認作業や注意事項、気付き等を共有する機会を失います。
そのためには、試合展開をしっかり把握して次に起こり得るプレーを想像する事、過去に起きたプレーから気付きを得る事、チームがしようとしている目的を理解して自分なり予測と準備について考える事が大切になります。
先程、試合の流れを掴む(予測と準備)についてお伝えしましたが、その時に考えた事や気付いた事をこの事に当てはめて周りにアウトプットする事で自分への自覚にも繋がります。思考や気付きは人に伝える事が出来て初めて本当の意味で理解した、自分に取り得る事ができたと言えます。インプットした内容はそのままアウトプットする癖をつけて頂くと思考の整理が進みますので、チーム全体が一つの頭脳だと考えみんなで共有するようにしましょう。
敵も味方もヤジらない(不必要なネガティブはグランドに持ち込まない)
前回お話させて頂きましたが、ネガティブな感情は野球というスポーツでは気付きやリスク管理などの視点ではとても大切な事になります。能天気には野球というスポーツは向かないという言葉でも表現できます。
前回のお話し
しかし、スポーツの中で不必要なネガティブな感情があります。それは周りからのプレッシャーと自分に過度に期待し過ぎてハードルを課せて追い込んでしまう事です。(ミスを怖がる完璧主義)
そしてこのような不必要なネガティブな感情の引き金となるのが野次や人を責める言葉になります。グラウンド内にこのような言葉が飛び交い、ネガティブな気持ちが充満することで選手のパフォーマンスは一気に下がります。中には奮起されたり、ぶつかり合う事で集中力を高める方法もありますが、自ら相手を不快にさせる行為をする事は避けるべきだと私は思います。しかし、熱気のあるプレーやぶつかり合う姿勢は決して悪い事ではなく、野球の醍醐味と言えますので相手選手やチームメイト、審判さん等グラウンドに立つ全ての人に礼儀と尊重する気持ちを持ったうえで気持ちをプレーにぶつけるという姿勢が自然な形で一番健全になるのかなと思います。あくまでも人を尊重するという姿勢があったうえでプレーに集中しましょう。
またネガティブな感情や怒りを持ってプレーをするとケアレスミスに繋がったり、大事な気付きを見落としてしまったりと基本的には良い事は起こりません。選手を野次る時間より必要な事をアウトプットする時間を増やしましょう。
まとめ
以上の事がベンチ内で過ごす時の大切な事になります。まとめますと、自分の役割を理解して試合展開を読み、リラックスした状態で準備をしていくという事になります。そして、ベンチワークとして考えた事や気付きを声掛け(アウトプット)して、いらない野次やネガティブ発言はやめるようにしましょう。
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