イチロー選手を育てた河村健一郎コーチから聞いた指導者として大切な事 野球を教えるとは?

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イチロー選手を育てた河村健一郎コーチから聞いた指導者として大切な事 野球とバッティングを教えるとは?

私は先日、河村健一郎コーチのバッティング指導を受けさせてもらい、お時間を頂いてバッティングへの取り組み方と指導する際に大切な事についてお話しを聞かせて頂きました。

河村健一郎コーチはイチロー選手がオリックスブルーウェーブに入団した時に二軍打撃コーチをされており、イチロー選手が二軍での下積み時代に良き理解者として、指導を行ったコーチとして実績のある指導者です。

阪急黄金期に名将上田利治監督の下、キャッチャー、ファースト、DHとして活躍され、勝負強い打撃と長打力が売りの選手でした。

またコーチとしてもオリックス、巨人、阪神などの複数の球団でコーチ経験があり、河村さんから指導を受けて活躍された選手はたくさんいます。

そんな河村健一郎さんから直接お話しを伺い選手指導にあたり、大切されていた事をご本人の許可のもと、今回の記事にてお話しさせてもらえたらと思います。

前回

イチロー選手の下積み時代 河村健一郎さん、新井宏昌さんとの共同作業 振り子打法の完成
イチロー選手がブレイクするまで、下積み時代 イチロー選手は言わずと知れた日本の大スター選手です。メジャーでも華々しい実績を残し、日米通算4367安打は世界記録で、MLBでも通算3089本のヒットを放ちました。そんなイチロー選手...

バッティングで大切な事

まず河村さんからバッティング指導を頂いた時に再度お話しされた事として、動から動を意識して軸を崩さず体を回すという事でした。この動作はバッティングにおいて基本的な事だと思いますが、結果が出ていない時は、こういった基本的な動作が出来ていないとの事で、やはり基本を大切にして丁寧かつ、バッティングセンターやバッティング練習の球でもいつも全力でバットを振るようにと指導を受けました。軽く振ったスイングや気の抜いたスイングでは反復の意味がなくなり、いつも同じ形で全力で振れるようになる事で、試合時にバッターボックスの中での一振りの時も同じ感覚で振れるという事に気付かせていただきました。

またバッティングは始動を始めてから動作を止めてしまったり、静の状態からいきなり動き出したりするのではなく、一連の動きでスムーズにバットを振る事が大切になり、その際の手の使い方(バットの出し方)は手を自然な高さから、手を下ろすような意識で振る意識が大切とお話しをされていました。この意識は決してバットをダウンスイングのように振り下ろすという事ではなく、あくまでもバットをミートポイントのラインに入れるように自然と軌道に入れる意識だとお話しされていました。この感覚は落合博満さんも「手をただ上から出すだけ」とお話しされていた事と同じ感覚で、私自身も無駄な意識を避けるため、自然とバットを水平かつ上からミートポイントに入れるために必要な事だと実感し実践しています。この事で力みが消え、ヘッドダウンする事なく、自然なレベルスイングを実践できます。

河村健一郎さんが指導の時に大切にしている事

河村さんとお話しをさせて頂き、受けた印象として、とても選手や個人の個性を大切にされていると感じました。

長所を伸ばす、良いイメージで練習をする

河村さんはオリックスのコーチを引き受けた際に、当時の上田利治監督に、選手の個性に着目して、みんながみんな同じ指導をしたり、同じ枠にはめないように指導をする事の断りを入れて選手指導に励みました。現代野球において、そういった指導方針は当たり前になってきましたが、当時は指導者の言う事が絶対で、一辺倒の教え方で基本を忠実に再現させるという指導方針は当たり前の時代でした。

そんな時代から河村さんはバッティング指導の時に選手の長所を活かす事を一番大切にされており、バッティング練習の時も苦手な球を打つ練習に時間を割く必要はなく得意なコースを打ち続け、良い時の形を体に染み込ませる事が大切だとお話しされていました。また調子を崩した時や形が崩れてしまった時は無理にバットスイングを続けない勇気を持つ事も大切だとお話しをされていました。

もちろん練習方法はこの一辺だけではないと思いますが、練習を苦手克服のためや、辛い事や出来ない事を続けるという苦しいイメージから、出来る事をまずは取り入れて良いイメージで練習をする事の大切さを改めて実感させてもらいました。

子供たちに野球を教える際にも、このような考えから野球に触れて貰い、自信と野球の楽しさを感じていく中で、野球に取り組む意欲や意識がさらに向上すると思います。

イチロー選手との接し方

河村さん著書の「イチローの育て方」でも、当時二軍時代のイチロー選手に良い感覚を翌日に残すために無理に数にこだわって素振りをするのではなく、全力でバットスイングをして納得のいくスイングが出来ていうちに止めるように指導したとの事でした。

このように野球の指導においても様々な手法と意識があり、その選手の個性や性格に応じた指導が必要だと思いました。しかし個性を尊重するために何でもやらせても良いという事ではなく、時には言うべき事を言ったり、分かっている事には敢えて口出しをしなかったりと、その時、その時の接し方があるのかなと思います。河村さんのイチロー選手の指導をした時の事を書かれた著書では、イチロー選手との接し方や技術指導について、河村さんなりの工夫と考え方が多く書かれていましたので、是非参考にして頂けたらと思います。

【中古】イチロ-の育て方 「振り子打法」考案者が語る、才能を伸ばす指導法 /廣済堂出版/河村健一郎(単行本)

私も実際、河村さんからバッティングフォームをバッティングセンターで見てもらい指導を受けましたが、打っている最中に決して短所を詰めるのではなく、出来ている事についてや大切な意識について前向きになるアドバイスを含んだ声掛けをたくさんして頂きました。私も選手に指導をする際には、人の長所を見つけ、そこを伸ばせるよう引き出しを増やしていきたいと思います。

昔のプロ野球について

ちなみに私は水島新司先生の「あぶさん」が大好きで野村克也さんの大ファンであるため、昔のパ・リーグプロ野球と南海ホークスについては結構詳しいのですが、河村さんと昔の阪急の話や南海ホークス含め、昭和パ・リーグのお話を聞かせてもらい、とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。貴重なお時間を頂いた事にとても感謝致します。ありがとうございました。

ちなみに河村さんが現役の時は誰かから教えてもらうのではなく見て盗んで上手くなっていったとの事でした。当時の阪急ブレーブスの選手は個性派揃いで、野手の主力選手も長池徳治さん、福本豊さん、加藤英司さんなど見るからに濃いメンバーだと思います(笑)。そんな中選手個人が教わるのではなく、上手い人や参考になる人を見て自分でプレースタイルを確立して活躍していく過程はその時代に合った形で個性を伸ばすという流れは自然にあったのではないかと思います。ここまで読んで頂きありがとうございました。

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