藤浪投手はメジャーでは通用しない? 先発失格の烙印とその要因 練習量と技術、意識を見直す
アスレチックスのコッツェイ監督が24日、エンゼルス戦の前に取材に応じ、「救援に回すことに決めた。先発に戻れないとは言わないが、しばらくはこの方針でやっていく」と語り藤浪晋太郎投手を先発ローテーションから外し、中継ぎに配置転換すると明かしました。
コッツェイ監督加えて「彼と話した。ブルペンに入ってもらって、速球の精度やコントロールがきっちり戻るか確認する。先発ローテーションに戻れないとは言わないが、短期的にはこの方向でいく」と話し、今後の藤浪選手の起用方針について考えを述べました。
前回記事
藤浪投手の課題について 色々な人の意見
コッツェイ監督は自信の問題だと見ており、「4度の登板で、彼が短いイニングではやれることは証明した。最初のエンゼルス戦でも2回までは完璧でそこから崩れた。彼が心地よく投げられるようにこれからもコミュニケーションをとるつもりだ」と話し、
さらに数日中に機会があれば、短いイニングで登板させ、それができない場合は、週末にロングリリーフさせる可能性も示唆し、同時に藤浪投手のメンタル面にも配慮した、関わり、起用方法を検討しているコメントを残しました。
アレックス・ラミレス氏の見解
そういった中、元横浜DeNAベイスターズ監督のアレックス・ラミレス氏は、自身のSNSを通じて「藤浪がこのように崩れるのはNPBで何度も見たことがあるので、それほど驚くことではない」とし、「先発ではなく1~2イニングを消化するリリーフを任せるか、マイナーリーグAAで経験を積ませた方が良い」と見解を示しました。また「MLBで戦う準備ができていない」と厳しいコメントも残しました。
宮本慎也氏の意見
続いて、解説者の宮本慎也氏は、「俺は藤浪が成功する鍵は現実を受け止める事が必要だと思う」「コメントが良いピッチングした人みたい」「何回8失点何回5失点しているのに今日はうまくいかなかったから次頑張りますという感じじゃないじゃない」
「これは良かったんだけど、あれは良かったんだけど、悪いなりにも勝って次に繋げるみたいな人のコメントに聞こえる」
とコメントを残し、藤浪投手の現状を受け止める姿勢、意識についてお話しをされていました。
落合博満氏の考え
両者とも、藤浪投手の技術と意識についてお話をされていましたが、
過去に自身のYouTubeチャンネルで当時阪神タイガースに在籍していた藤浪投手の現状を問われた落合博満氏は「オレが一番打席に立ちたくないピッチャー」「本人がそれをどう思っているかだよ」と藤浪投手の特徴について肯定的なコメントされていました。
抜ける球に対して「悪いなって思っていたらピッチャーはやってられないな。精神的なものの方が多いんじゃないかな」と藤浪の心中を察した。その上で「抜けるんだったら、それを一つの武器として考えてもいいんだろうと思う」と話し
さらに「藤浪は「状態が上がったら上げてやる」とかいうピッチャーではない」「楽をさせちゃいけないんだろうと思う」「責任感を持たせて1年間どんだけ悪くても1軍に置いて投げてもらうよっていう、そういう使い方が首脳陣の頭の中にあってもいいんだと思う」と当時の阪神タイガースの首脳陣にも提言されていました。
また落合氏はテレビ番組でも「みんな、メンタル(の問題)だって言うでしょ? 俺に言わせりゃ『お前、技術がないんだろ』ってだけ。技術がある奴はメンタルには来ない。だったら、精神的なことを鍛えるんじゃなくて、野球の技術を会得しないといけない」と藤浪投手の技術不足についてコメントされていました。
続いて落合氏は「昔のピッチャーは、たとえばアウトローに何球投げますよと言ったら、そこに投げられなかったら終わらない。ほかは投げない。順序立てて全部やって、それで開幕を迎えるわけ。今のピッチャーというのは、『(練習で)今日は100球投げます』と言ったら、球がどこに行こうが100球で終わるんだわ。だから技術の向上がないの。そのなかで身になる練習というのは、10%あるかないかじゃない?」と練習の量や取り組み方にもコメントされています。
元同僚、左右エースの能見篤史氏とメッセンジャー氏の未来予想と懸念
また、過去にプロ野球選手として2年目のシーズンを迎える藤浪投手について、当時チームメイトであった能見篤史投手は「表現としては良くないかもしれないけど、僕は去年より悪くなっていると思います。」とコメントを残していました。
その理由として続いて能見氏は
「プロとして1年間やったという余裕があると思うんです。でも、それは悪く言うと、なめるわけではないですけど”プロに慣れてしまった20歳”というふうになってしまう可能性もある。余裕を持つのはいいことですけど、未知の能力をまだまだ持っているでしょうし、実力のある選手ですからね。」
「去年、1年目で先発ローテーションをしっかり守ったことは立派です。ただ、規定投球回数には届いていない。年間170イニングから180イニングを継続して投げるしんどさ、続ける大切さを知っていってほしいです。これは、それぞれの投手によるところもあるんですけど、藤浪のキャンプ中の投球数も多くはなかったと思います。」
続いて能見氏は「30代の僕と同じランニング量だったとしたらおかしいですよね。もっと走れ! 知らん間に手を抜くことを覚えてますからね。そういえば、メッセンジャーにも「お前はそのままでは普通の投手になってしまうぞ」って言われてました。これは本人がどう感じて練習に取り組んでいくかにかかっています。」
と当時の阪神タイガースの左右の両エースから未来を予測するようなコメントを残されていました。
藤浪投手を心配する鈴木誠也
また、今シーズンのキャンプでは藤浪投手と同世代で交流のあるカブスの鈴木誠也選手がメディアに対し「晋太郎、『練習短っ』って言っていませんでしたか? もしそう思っているのなら、晋太郎に伝えてほしいんです」「日本と比べるとメジャーのキャンプは全体練習の時間が本当に短くて、1年前は空き時間にだいぶ不安になった。最初は『自分にはこんなにもルーティンがなかったんだ、日本では結局、練習をやらされていたんだ』とショックも受けたので…。こっちでは自分で考えて作ったルーティンを大切にした方がいい」と練習時間の短さと自己管理の難しさについてコメントされていました。
もともと広島時代の鈴木誠也選手は「ルーティンなんて必要ない」というスタンスでありましたが、2時間あるかないかというメジャー流時短練習に足を踏み入れた途端、「余った時間に何をしたらいいのか分からなくなった」とメジャーと日本の違いに戸惑いを覚えたそうです。
この経験から「もしルーティンがあれば、全体練習が短くても『自分は今日もこれをやった』と不安を打ち消せる。だから今年の僕だったら、何時に起きて、この時間はトレーニング、バッティングではこのコースを何十球、こっちも何十球と決めて、足りなければ増やすようにしています。そうすることで今は『明日はこうしたい』と感じることはあっても、『何をすればいいか分からない』と不安になることはなくなりましたね」とコメントしていました。
参考:https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/202302200000969.html
まとめ
この事から、藤浪投手はまさに崖っぷちの今の現状をしっかりと受け止め、自身の課題を見つめ、練習やトレーニングの量と意識で改善を図る事が大切となり、そのためには後がない現状に危機感を持ち日々奮闘するしかないという事が言えます。
結果が出ないうちは、どうしても批判や至らない点が目立ってしまいますが、こういった今なの現状を打破するのも本人の力と技術、能力だと思いますので、ぜひ今後の藤浪投手の巻き返しを期待したいですね。
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