投手根尾昂がイップス? 突然起こった異変と新たな課題 荒木雅弘コーチから二刀流の示唆も
根尾昂選手は2018年大阪桐蔭高校で春夏連覇など華々しい実績を残し、競合の末、中日ドラゴンズに1位指名され、野手として、将来の主力を担う事を期待され入団しました。
しかし、1年目、2年目とショートとして、2軍で実践を積みましたが、打撃不振に悩まされ、3年目は1軍で出場機会を得るため外野手として開幕スタメンを勝ち取り72試合に出場ましたが、思うような成績は残せず、4年目となる2022年のシーズンも再度ショートへの転向を試みましたが、結局は外野手に戻り、さらにシーズン途中にピッチャーへのコンバートが発表されました。
結局ピッチャーとしては、25試合に登板し、1ホールド、防御率3.41とコンバート初年度にしては、そこそこの成績を収めましたが、5年目となる2023年シーズン、根尾選手に新たな壁が立ちはだかろうとしています。
果たして根尾選手はこのままピッチャーとして続けていくべきなのか、今後の根尾選手の展望について考えたいと思います。
画像引用:https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/npb/2021/06/24/post_132/
根尾に起きた異変!?
2022年にピッチャーとして来年も期待できる成績を残した根尾選手でしたが、異変は11月5日秋季キャンプでの出来事でした。
中日・根尾昂投手(22)が5日、沖縄・北谷での秋季キャンプで初めてブルペン入りした。
しかし、自慢の制球力が定まらない。落合ヘッド兼投手コーチが「(テストを行う)レベルじゃない! 普通のピッチングに変えて!」と語気を強め、本来行う予定だったストライクテストは途中で急きょ、中止となった。
結局、捕手を座らせて約80球を投げ込んだ右腕は「本当に良くなかったですし、上(半身)と下(半身)のバランスが良くなかった。実戦の期間から来季に向けて、もう一度、追い込むというか、体を鍛え上げていく中で、まだまだ技術不足というかそういうものを痛感した」とショックを隠せなかった。
ブルペンでは落合ヘッドからテークバックで右腕が背中側に入り込む点などを指摘された。修正に取り組んだ根尾は「もっと自分の今の投げ方に合っているタイミングを見つけたい。技術的なところで。もうちょっとこうした方がいいんじゃないかというところがあったので、そればっかやってました」と明かした。
立浪監督は「今日、ひどかったみたいで。(ここまで)順調すぎるのでちょっといろんな壁にはぶつかっていく。課題は分かっていると思うので。どう修正していくのかは投手コーチと相談してやればいい」とさらなるレベルアップを求めた。
投手陣は走り込み中心のハードメニュー。キャンプ4日目で疲労も相当たまっていそうだが、それでも根尾は「完全にボールを投げる体力だったり、技術をつけていくのがテーマ。もっともっと球数増やしたいし、その1球1球の精度を求めてやっていきたいです」とキャンプの課題を挙げた。
引用:https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/244107
ブルペンでは落合コーチとからテークバックで右腕が背中側に入り込む点などを指摘された点について修正に取り組み、立浪監督は制球が定まらない根尾選手について、さらなるレベルアップを求め、焦る事なく調整を進めていく旨のコメントをされました。
実際、5日前に行われたフィニックスリーグでの対巨人戦では6回途中を投げ、4失点、1本のホームランを含む被安打4、4四球の結果となり、多少コントロールのある程度まとまったピッチングを見せていました。しかし、その直後の急な事態に立浪監督含む首脳陣は、驚きを隠せない事態となり、根尾選手のピッチャーとしての今後が心配される事態となりました。
このように不安が残る中、2023年ファームの試合も開幕し、根尾選手も多少コントロールに不安を残しながら、140キロ後半から150キロ代のストレートも投げ込み、中継ぎとして5試合連続無失点と安定したピッチングを披露していました。
ファームでのオリックス戦に登板 やはり突然の大崩れ
しかし、2023年4月5日のウェスタンリーグ対オリックス戦に8回から登板し先頭のバッターに140キロ前後のストレートを4球続けてボールでフォアボール、続くバッターもストレートとスライダーを投げ込みフォアボール、次のバターは3つのスライダーで空振り三振を奪いましたが、続くバッターは1球もストレートを使わず、変化球を低めに叩き、またしてもフォアボール、3人にフォアボールを与え、塁を全て埋めた所で降板となりました。
伸びない球速と叩きつける変化球 再度フォーム固め
この時の根尾選手のストレートはMAXで141キロとなり、ボールが抜けてしまう場面が多く見られました。この登板以降、2週間以上経っても、根尾選手は2軍のマウンドに上がる事はなく長く実践の登板から離れてしまっています。
その理由として、2軍投手コーチの浅尾拓也コーチとう山井大介コーチと再度フォームを固めているという情報があります。根尾選手は元々、ショート時代も送球難も一つの理由としてポジションを固定する事ができませんでした。昨年は25イニングを投げて、12四死球と決して少ない数字ではありませんでしたが、フォアボールで崩れるというシーンはほとんど見られませんでした。
OBと解説者の反応
また、プロ野球の評論家、OB、解説者は口を揃えて、根尾選手のコントロールの不安定さと共に球種の少なさと1年間を戦えるだけの体力、筋力があるのかという点をウィークポイントとしてあげており、この点を成長させる事が活躍の条件とされています。
しかし同じ大阪桐蔭出身で中日OBである今中慎二氏は
「根尾昂を周りがグイグイ持ち上げるから。厳しさを知らないと」「まだまだ上を目指さないといけないから。去年のままのレベルでは、プロで、長く持たないよ」と厳しさを見せる中、
「根尾は、先発の方が向いているね。そもそもリリーフの準備は大変。先発はスタミナが要る?って。世間で言われるスタミナなんて投げているうちに勝手についてくる。現役時代、自分もよく叩かれました。細めの体型だからどうとか。根尾なら、投げられます。ただ、球数どうこうではなく、いやらしいバッターが粘ってくる。それに対する根気とメリハリが必要。そこだけ」「球種なんて増やさなくてイイ。コントロールとストレートの質。150キロ出ても、打者が真っすぐを狙ってもスピンの効いたバットに当たらない球が必要」「未練なく、投手一本でいくならそれを示さないと。まだまだ足りないね。ピッチャーは、最後はストレート」とコメントされており、
今のままでは先発投手としては通用しないが、コントロールとストレートの質の成長を活躍の条件として、今後の成長で根尾選手の飛躍を期待している旨が伝わってきます。
アライバコンビの二刀流への期待 気分転換も兼ねて
中日ドラゴンズOBの井端弘和氏と元コーチの荒木雅弘氏も入団当時から「いい球を投げていた」と二刀流に期待していただけに期待も大きく、投手として活躍の計算が見込めるようになれば、大野雄大や柳裕也、高橋宏斗をはじめとする強力な投手陣にさらに厚みが生まれ、チームとして大きなプラスになると語る一方で、両者はここにきて打撃面でも良い兆候が見えてきたともお話しされていました。
荒木氏は昨年の広島戦で二刀流として出場した際、打撃成績が良かったと振り返り、井端氏も「変な力が抜けてじゃないけどさ、打てなくて当然くらいの気持ちでやっちゃえば良かったくらいスイング綺麗だった。逆にピッチャーだけで煮詰めていくと、野手の時と同じ感じになるのも怖いし」とコメントし、これには荒木氏も「全部を完璧にしていこうという気持ちに見える。いいところで抜きながらやって行こうと」と、投手としても出場した方が根尾の真面目な性格上、良い方向に向かうのではないかとの考えを明かしていました。
荒木氏は投手としての練習が多くなる根尾選手に対し、「素振りだけは忘れるなよ」と声をかけ、野手としての意識のバランスをとることを強調され、さらに「野手がダメだから投手になった訳じゃない。投手の方がいいからなったんだ」と二刀流という新領域で戦う未来のスターのメンタルにも寄り添いました。最後に荒木氏は「どういう形でも一軍で戦力としてやって欲しい」
引用:https://cocokara-next.com/athlete_celeb/akiraneo-secret-to-success-as-a-pitcher/
このように根尾選手への期待を改めて言葉にしているように、根尾選手の真面目で完璧主義な性格に寄り添い、大きな才能がある事も示唆され、根尾選手の活躍を期待している様子が窺えます。
今現在、プロの世界で中々、苦しんでいる根尾選手ですが、今後何かをきっかけに大きく成長、変化する事も十分考えられます。根尾選手の真面目で完璧さを目指す性格もメンタルコントロールと技術の向上により、うまく機能する事も考えられますので、根尾選手の今後の活躍をぜひ期待していきたいですね。もしかしたら荒木コーチのお話しされるように、二刀流や野手への再転向も今後見られるかもしれませんね。
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